2015年度民美 月曜美術講座(公開講座)

大震災と造形芸術-3・11以降の美術状況

講師   荒木 國臣

2015年 1月19日(月)

時間:午後1時30分~4時30分

場所:民美アトリエ

参加費・民美研究生は無料。一般の方は1,050円となります。
■ 過去の大震災に直面した美術家たちの軌跡を追いながら、大震災を機に美術と美術運動にどのような変動が起こったか歴史的に振り返り、3.11以降の美術状況を考えます。
・安政大地震(1855年、安政2年)「鯰絵」の乱舞に見る幕末の世直し願望
・関東大震災(1923年、大正12年)復興を契機とするモダニズ美術
新興美術運動からプロレタリア美術へ
・阪神淡路大震災(1995年、平成7年)PTSDコミュニティアート
・東日本大震災(2011年平成23年)癒し系表現と第2次ルポルタージュ絵画運動
大都會無事(おおつえぶじ)
大都會無事(おおつえぶじ)
坪井明 無主物(2012年~)
坪井明 無主物(2012年~)
鹿子木孟郎《大正十二年九月一日》東京都現代美術館
鹿子木孟郎《大正十二年九月一日》東京都現代美術館
◆ 荒木 國臣氏略歴   
1941年 岡山県生まれ
東京教育大文学部哲学科卒
愛知県公立高校勤務
伝統染織工芸産業研究 油彩画、
日本美術会員 美術集団8月会員 
椙山女学園大学講師 
主著「日本絞り染織産業の研究」(同時代社)
2014年度民美 月曜美術講座(公開講座)

奇な美術たち - オムニバス-

講師   上野 一郎

2014年12月15日(月)

時間:午後1時30分~4時30分

場所:民美アトリエ

参加費・民美研究生は無料。一般の方は1,050円となります。

■ テーマの説明:普通とは違っていることを“奇な”と言い、そのような美術の幾つかを紹介する。“オムニバス”とは次々と短編を編入するメドレーみたいなもの。取り上げるのは、20 世紀の初めにシュヴァルと言う名の郵便配達夫が作った『理想宮』、海中に入口がある原始美術、小松均の画業、素朴派の画家など。それらの不思議、疎外性、執拗さ、自由さなどには、普通の表現を超えた魅力が存在する。このような作品の鑑賞により、制作の豊かさを開拓するのに資したい。

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シュヴァルの『理想宮』
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コスケール洞窟(南仏)
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R. タタンの『 瞑想の庭』
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小松 均『雪の最上川』

◆ 講師略歴
1940年生まれ / 東京芸術大学修士課程修了 / ソルボンヌ 大学博士課程留学 / 金沢美術工芸大学に専任教員として は2005年3月まで勤務 / 日本美術会会員

2014年度 民美特別講座 私の創作体験

宮良瑛子「沖縄-愛と平和と-」

日時 : 12月21日(月)
時間 : 午後1時30分 ~ 3時30分
場所 : 民美アトリエ (平和と労働センター・全労連会館9F)
【一般参加可・入場無料  終了後懇親会実施】

1969年ようやくおりたパスポートを手にご主人の故郷・沖縄の地を踏む。那覇や糸満の市場で働くたくましくおおらかな女性への共感から「アンマー・シリーズ」を描き始めた。復帰直前の1971年に沖縄に移住し機会ある毎に沖縄戦を追体験し<描かねばならない>でできた「焦土シリーズ」。90年代には湾岸戦争に衝撃を受けて「無辜(むこ)の民シリーズ」を描き世界へアジアへ目を広げる。近年は辺野古をテーマにした「漂泊の島シリーズ」。そして「3.11」…。創作の中で「沖縄女流美術家協会」「沖縄平和美術展」を立ち上げる。「私は作家としては作品が少ない。私の作品は日々の生活の中で生まれたということだと思う」と…。
そんなお忙しい宮良瑛子さんにお願いして、沖縄と自作を語って頂きます。ご期待下さい。

「女たち」 1975(29回展)
「女たち」 1975(29回展)
シリーズ焦土「彷徨」 1982
シリーズ焦土「彷徨」 1982
美ら海・辺野古 1999(53回展)
美ら海・辺野古 1999(53回展)
黙示録・沖縄2006 2006(60回展)
黙示録・沖縄2006 2006(60回展)
沖縄島-断章- 2010
沖縄島-断章- 2010
 
【略歴】 
1935  福岡県直方市生れ 
1957  武蔵野美術学校教員養成所卒業 
1958  美術家平和会議入会。平和美術展出品 
1964  日本美術会会員。日本アンデパンダン展出品(17回展)以後出品 
1971  東京・狛江から沖縄・首里へ転居 
1977  沖縄女流美術家協会を結成。第3回沖縄女流美術展 
1982  反核沖縄平和美術展を結成。第1回沖縄平和美術展
2014年度民美本科 美術講座(公開講座)
―『造形の素材と表現及び歴史』―特別編

―紙・木炭・鉛筆の歴史と絵画表現―

講師  佐藤 勤

日時  10月20日(月)

時間:午後1時30分 ~ 4時30分

場所:民美アトリエ

参加費:民美研究生は無料.一般の方は1,050円です。
参加者は9mm芯が入るシャープペンシルを持参のこと。
材料費:銀・紙 代実費500円は参加者全員から別途集めさせていただきます
準備の都合がありますので参加者は事務所へ申し込んでください。
鉛筆が発明される前の金属筆(シルバーポイント)で描いてみよう
美術表現は画材―ものによって視覚化されること、画材の知識と技法について4回にわたって学んできました。紙と鉛筆があれば絵は描ける・・・と言います。今回は常日頃当たり前のように、使っている素描道具について、あらためて考え、鉛筆以前の素描道具を体験してみましょう。
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アルタミラ
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木炭 マチス
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鉛筆 アングル
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シルバーポイント ファン.アイク
 
 

2014年度 民美夏期研究会

受付開始日6月16日(月)10:00~(FAX、TEL)。いずれも定員になり次第締め切ります。
I、デッサン入門 (女性ヌード)         募集人数 15名程度
7/28(月)~8月2日(土)6日間     時間 10:30~1:30
講師 伊藤八枝                 受講料 21,600円
II、油彩画入門(女性ヌード)       募集人数 15名程度
7/28(月)~8/2(土)(6日間)  時間14:00~17:00
講師 宮本秀信、星野文和       受講料 21,600円」 
III、版画入門
(1)
銅版画を楽しむ(エッチング・アクワチント) 
時間  10:30~16:30
講師  相田勤
8/4(月)~8/6(水) 3日間
募集人数10名程度
受講料 19,500円(材料費含む)
(2)
多色刷りリトグラフ
時間  10:30~16:30
講師  倉田るみ
8/7(木)~8/9(土) 3日間
募集人数10名程度
受講料 19,500円(材料費含む)
IV 、彫塑入門(ヌードモデルを粘土で作って素焼きするテラコッタ)
8/18(月)~8/23(土)6日間                  募集人数 15名程度
時間13:30~16:30 最終日12時~18時(中抜き作業・合評・懇親会)
講師 河野 新           受講料 21,600円(材料費含むー部受講者負担あり)
V、水彩画入門 8/25(月)~27日(水)3日間 募集人数各15名
(1)人物 時間10:00~13:00 講師・笹本忠志      受講料 9,700円
(2)静物 時間14:00~17:00 講師・窪田旦佳      受講料 7,500円
(受講者が一定に達しない場合は中止することがあります。各受講料には消費税が含まれています)
申込み方法(各講座共通)
  1. 申込書はもれなく記入のうえ民美まで郵送またはFAXでお送りください。
  2. 受講料は、もよりの郵便局で振り込んでください。
      振替口座 民美 00170-7-756666
      通信欄にご希望の講座と、氏名を忘れずにご記入ください。
  3. お取り消しの場合、6日前までは50%、以後は返却しませんのでご注意ください。
  4. 全日出席が原則です。受講料は全額前納でお願いします。
  5. 一週間前で締め切ります。但し、定員になり次第締め切らせていただくことがあります。
お問い合わせ申込みは Mimbi 日本美術会附属研究所・民美 TEL 03-5842-5665
〒113-0034東京都文京区湯島2-4-4平和と労働センター・全労連会館9F FAX 03-5842-5666
2014年度民美入所式 特別講座 「講演 」

危機の時代の美術

―1920年代ドイツの美術・デザンから ―

講師: 長田謙一 氏(名古屋芸術大学 大学院美術研究科 教授 )

日時: 2014年4月6日(日)14 時~16時【終了後懇親会実施】 

会場:平和と労働センター 2階 ホール 【一般参加可・入場無料】pdf-B1.png

 
第一次世界大戦後ワイマール共和国成立を経てナチス政権樹立による共和国終焉までの14年間のドイツの美術・デザインを、高まる時代の緊張の中の、芸術の前衛、政治の前衛、デザイン・建築のモダニズム、そして台頭するナチスといった諸動向の交錯としてとらえてみよう。 
そこには、革命的情勢の中のベルリン・ダダ・メッセから同展をさらし者にするナチスの「退廃芸術展」に至る線、1910年代の表現主義美術から1920年代の表現主義演劇・映画への線、革命直後のロシア・アヴァンギャルドからその一部のバウハウスへの継承の線、昂揚する社会主義的労働運動からナチスによる広範な勤労大衆の動員に至る線など、幾本もの線が引かれる。 
それらの線を解きほぐしながら、美術のアヴァンギャルドを改めて問い直す視座をさぐることになる。 
ナチスによる「頽廃芸術展」パンフレット 1937
ナチスによる「頽廃芸術展」パンフレット 1937
G.グロッス画集 『支配階級の新しい顔』 1930
G.グロッス画集 『支配階級の新しい顔』 1930
バウハウス機関誌  「bauhaus」創刊号1928
バウハウス機関誌 「bauhaus」創刊号1928
 『John Heartfield』画集
『John Heartfield』画集
 
 
長田謙一氏 略歴 
名古屋芸術大学 大学院美術研究科 教授 
1948生。東京藝術大学大学院修了(美学)。千葉大学、首都大学東京等を経て現職。近現代芸術文化システム(美術教育、美術館等を含む)を研究。
編/著書:『戦争と表象/美術』、『日本近代デザイン史』『歴史展示のメッセージ』『斉藤佳三』等。
展覧会図録:『チィゼック』『bauhaus1919-1933』『イギリス工芸運動と濱田庄司』『ダンス!』等。
論文:「原田直次郎『騎龍観音』における『帝国日本』の寓意」(『美術史』)、「閉鎖後のバウハウス」(『ドイツ研究』.)、「Koga Harue’s Sea (1929) and “Soluble Fish”」 (『AESTHETICS』)、「松本竣介〈立てる像〉(1942)と象徴の成立」 (『芸術学研究』)「<美術/教育>の扉を開く」(『美育文化』)等。
千葉Wi-CANプロジェクト、ひののんプロジェクト等に参画。 科研「社会システム〈芸術〉とその変容」による共同研究代表者。 
2013年度民美 月曜美術講座(公開講座)第9回
戦争と美術

ピカソ『ゲルニカ』再考

講師  北野 輝

2014年2月3日(月)

時間:午後1時30分~4時30分

場所:民美アトリエ

参加費・民美研究生は無料。一般の方は1,050円となります。
※画像クリックで拡大
■ピカソの「ゲルニカ」(1937年)は、20世紀最高の「名画」として世界中に知られている。しかしそれはどれだけ本当に知られているだろうか。その「ゲルニカ」を、戦争画の歴史とピカソの個人史と当時の社会的・政治的状況の中で見直し、その「反戦画」としての性格と意味を改めて考えてみたい。
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牛 (「ゲルニカ」素描)
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「ゲルニカ」
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ミノトーロマキー
 
 
◆ 北野 輝 略歴  1936年東京生まれ(福島県育ち)。 1966年東京芸術大学大学院修士課程修了 (美学専攻)  
1967年〜2002年大分大学、大阪教育大学 和歌山大学教員。日本美術会会員。
2013年度民美 月曜美術講座(公開講座)第8回

日本アンデパンダン展年代記-I

講師:稲井田勇二

日時:2014年1月6日(日)13時30分~16時30分

会場:民美アトリエ(平和と労働センター・全労連会館9F)

【参加費・民美研究生は無料。一般の方は1,050円となります。】
①草創期の作家と作品 ②70年代以降、民美卒業生の活躍 150点余の作品映像を見ながら語ります。
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尾崎ふさ「メーデー」第2回展
t getsu konno
金野新一「落盤」第9回展
t getsu kimura
木村勝明 「ある日常より一夜」第34回展
t getsu endou
遠藤駿二 「3月」 第25回展
 
 
2013年度民美特別講座

宮下 泉 私の創作体験

―目指す方向は? 資本主義リアリズム―

日時:2013年12月22日(日)13時30分~15時30分 

会場:民美アトリエ(平和と労働センター・全労連会館9F)

【一般参加可・入場無料 終了後懇親会実施】

思い起こせば東京オリンピックの頃、高校時代にネオ・ダダ/ポップアートに出合い魅了され、毎週土曜日の午後学校帰りに京橋・銀座・新宿の画廊めぐり。あの頃から常に時代をどう表現するかを考え、自分の身のまわりにある物を描いてきました。東京郊外の丘を切り崩した造成地「若葉台」、団地のベランダにたなびく洗濯物「NEW TOWN」、500円以下のコンビニのお弁当「ランチ・タイム」、そこからスピンオフした米粒「ライス・ガーデン」、分別ゴミに集積した「カン・缶・かん」…。

大量生産/消費社会の風を具体的題材で表現し、挽歌を奏でられれば…と日々キャンバスに向かっています。目指す方向は―?―?―? 『資本主義リアリズム』

ランチ・タイム 2009(62回展)
ランチ・タイム 2009(62回展)
カン・缶・かん 2011(64回展)
カン・缶・かん 2011(64回展)
【宮下 泉 略歴】
1948  東京生れ
1967  都立駒場高等学校美術科卒業
1972  東京造形大学美術学科卒業
1989  日本アンデパンダン展出品(~95)
1990  東京展出品(~2010)
1996~ 個展(銀座・長谷川画廊)以後毎年開催
2004~ 多摩美術家協会展出品
2008~ 日本アンデパンダン展〈再出品〉
日本美術会会員・多摩美術家協会会員
2013年度民美 月曜美術講座(公開講座)第7回
戦争と美術2

アジア・太平洋戦争と戦争画

講師   荒木 國臣

2013年12月2日(月)

時間:午後1時30分~4時30分

場所:民美アトリエ
参加費・民美研究生は無料。一般の方は1,050円となります。
※画像クリックで拡大
■戦争とファシズムの時代を生きた美術家たちの軌跡を追いながら、アジア・太平洋での戦争画の展開を整理し、なぜ多くの画家たちが雪崩を打って戦争画運動に参加していったのか、戦前から現在までの戦争画はどう評価されてきたかを整理し、戦争画の「芸術性」と戦争責任の今日的な意味を考えます。
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藤田嗣治「アッツ島玉砕」1943年
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藤田嗣治「血戦ガダルカナル」1944年
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宮本三郎「山下・パーシバル両司令官会見図」1942年
 
 
◆ 荒木 國臣 略歴  1941年岡山県生 東京教育大文学部哲学科卒 愛知県効率高校勤務 伝統染色工芸研究 油彩画
椙山女学園大学講師 主著「日本絞り染産業の研究」他 
2013年度民美 月曜美術講座(公開講座)第6回
戦争と美術1

美術は戦争をどう表現してきたか

講師   北野 輝

2013年11月11日(月)

時間:午後1時30分~4時30分

場所:民美アトリエ
参加費・民美研究生は無料。一般の方は1,050円となります。
■美術は戦争をどう表現してきたか。その歴史を主にヨーロッパ美術の作例を通してたどってみよう。一言でいえば、戦争が戦勝記念の表現としてではなく、人間の存在を根底から否定する災厄としてとらえられるようになるのは、やっと近代になってのことである(例えば、ゴヤ「戦争の惨禍」)。
 藤田嗣治らの戦争画が肯定的に再評価されている今日、あらためて広い視野で戦争表現の歴史を振り返ってみよう。
t nar01a
ナルメル王のパレット
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ピカソ「ゲルニカ」
t goya-sensounosanka
ゴヤ「戦争の惨禍」
◆ 北野 輝 略歴  1936年東京生まれ(福島県育ち)。 1966年東京芸術大学大学院修士課程修了 (美学専攻) 
1967年〜2002年大分大学、大阪教育大学 和歌山大学教員。日本美術会会員。
日本美術会附属美術研究所・2013年度 民美
月曜美術講座(公開講座)―現代アートの諸相/Ⅳ・Ⅴ)-

日本近代美術の社会史-震災と戦争から(全2回)

■第1回「関東大震災と美術」

2013年9月2日(月)13:30~16:30

■第2回「第二次世界大戦と美術」

2013年10月7日(月)13:30~16:30

場所・民美アトリエ(文京区湯島2-4-4平和と労働センター9f)

講師・武居利史(府中市美術館学芸員・美術評論家)
 
関東大震災と第二次世界大戦という二つの重大な出来事を通して、近代から現代へ日本美術がどのように転換したのかを探ります。従来の近代美術史のとらえ方は、美術制度・団体の形成を中心とする見方や、主に西洋から移入された思潮・運動を中心とした見方が多く見受けられます。しかし、それが個人の美意識として受容され、社会に定着するためには、社会そのものの変化を視野に入れなければならないでしょう。とりわけ、日本社会に大きな転機をもたらした震災と戦争において、美術家がどのように関わったのかをふり返ることは、3・11以後の時代を生きる私たちにとって重要な示唆を与えるものと思います。
― 武居利史氏の経歴 ―
1968年神奈川県藤沢市生まれ。東京芸術大学芸術学科卒業。1998年府中市美術館開設準備室に入り、2000年から府中市美術館学芸員。アートスタジオ・公開制作・美術鑑賞教室などの教育普及事業を中心に手がける。主な担当展覧会に、「戦前の洋画家たち―そのまなざしと表現」、「第2回府中ビエンナーレ2004 来るべき世界に」、「アートサイト府中2010 いきるちから」、「民衆の鼓動―韓国美術のリアリズム1945-2005」(巡回展)など。戦後のリアリズム論争、社会運動における美術について調査研究を行う。現在、北九州市立美術館など3館巡回の「柳瀬正夢展」準備に協力中。美術評論家としても活動。『前衛』には3か月おきに連載。
日本美術会会員 無料     ・一般1,050円       問い合わせ先 民美 03.5842.5665
2013年度民美 月曜美術講座(公開講座)第1回
現代アートの諸相 1

西欧アヴァンギャルド美術とメキシコ壁画

講師   北野 輝

2013年5月13日(月)

時間:午後1時30分~4時30分

場所:民美アトリエ
参加費・民美研究生は無料。一般の方は1,050円となります。
■ダダをはじめとする西欧アヴァンギャルド美術をどうとらえるか。諸説がある中で、ここではそれが、近代美術のかかえた難問——「自律」した芸術の実生活からの遊離・離反——から、脱却をくわだてた点に注目する。あわせて、西欧圏以外のメキシコ壁画運動の重要性に触れる。
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デユシャン「泉」
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ダリ「内乱の予感」
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シケイロス「文化ポリフォルム(前面)」
 
 
◆ 北野 輝 略歴  1936年東京生まれ(福島県育ち)。 1966年東京芸術大学大学院修士課程修了 (美学専攻)  1967年〜2002年大分大学、大阪教育大学 和歌山大学教員。日本美術会会員。
2013年度民美入所式 特別講座「先輩を語る」

小山田二郎の世界-油彩と水彩の間で-

講師:小堀令子氏(画家、立軌会同人)

日時:2013年4月7日(日)14時~16時  【終了後懇親会実施】

会場:平和と労働センター 2階 ホール 【一般参加可・入場無料】pdf-B1.png

「宿命的に生を燃焼し、ひっそりと逝った画家  小山田二郎の遺したもの」は? 搾取によって肥満する人間を諷刺した「食卓」、宗教的主題の「ピエタ」、生涯描き続けた自身の象徴的化身「鳥女」―いずれ も表層的な社会風刺にとどまらない―(1994年 芸術新潮より) 切りつめた造形と美しい色彩、水彩画の可能性を広めた小山田二郎の水彩は特に注目され ている。日本アンデパンダン展には第1回展(1947)から第15回展(1962)まで出品し、元自由美術家協会会員・元日本美術会会員でもあった先輩画 家から私たちは何を受け継ぐのか。小山田二郎氏の後半生を支えた小堀令子氏から、人と作品を直接伺う又とない機会です。是非ご聴講ください。
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舞踏 油彩 1954
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ピエタ 油彩 1955
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とん(豚) 水彩 1965
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こども 水彩 1953頃
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老詩人 水彩 1956
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舞踏 油彩 1991(絶筆)
 
 
【小山田二郎 略歴】
1914  中国遼寧省丹東市(現)生れ。1歳から東京・根岸で育つ。
1934  帝国美術学校(現武蔵野美術大学)入学。中退。
1937~1944 独立美術協会展、美術文化協会展に出品。1945 自宅焼失。
1947~ 自由美術家協会会員、自由美術家協会展に出品。
1947~ 日本美術会会員、第1回日本アンデパンダン展出品(~15回展)。
1991  7月26日 病気のため永眠。
2012年度民美特別講座

山本良三 一絵描きの創作体験

― 戦災が私を絵に熱中させる ―

日時:2012年12月23日(日)13時30分~15時30分

会場:民美アトリエ(平和と労働センター・全労連会館9F)

【一般参加可・入場無料   終了後懇親会実施】
ほとんどの人がケイタイを持ち、自動車に乗ると何メートル先をどうしなさいと案内される時代だ。生活環境は急変している。反面、若い人の仕事がなかったり、鉄道の人身事故も多い。まるで兵器を使わない「戦争」の様だ。美術界もコンピュータ・グラフィックとの関連も少しあるのか、どこの美術団体も若者の集りが少ないようだ。
そんな中でも僕は足繁く仕事場に通い絵を描いている。社会や自然界に色々大変なことがあっても、便利な機器が解決してはくれない。一人ではできないが、人間がやる以外にないと自問しながら、一絵描きとして、絵の上で模索している。
【 山本良三 ホームページ http://www7b.biglobe.ne.jp/~ryouzouyamamoto 】 
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昼休み 1968(21回アン展)
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塔と雲と太陽と 1989(42回)
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波のうた(今) 2001(54回)
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炎(1945年) 2007(60回)
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華の季節 2008
 
 
【略歴】
1941  東京生れ。4歳の時東京大空襲で被災。愛媛県へ移住。
1959  画家を志し上京。60年安保闘争に参加。
松山文雄(まつやまふみお)に師事。灯画サークルで杉本博に師事。
1968~ 日本アンデパンダン展に出品。
1977  日本美術会附属民主主義美術研究所卒業(5期生)。
出品展 日本アンデパンダン展、職美展、平和美術展、調布平和美術展
武蔵野アンデパンダン展、 個展・二人展等多数
現在 日本美術会会員
2012年度民美入所式 特別講座

宮本和郎 日本画のたどってきた道と私の創作

日時:2012年4月8日(日)14時~16時

会場:平和と労働センター 2F ホール

一般参加可・入場無料 終了後懇親会実施
人間は自然とどう向きあって生きてゆけばよいのだろうか、そして美術はそれとどう関わってゆけばよいのだろう。いま、それが改めて問われている時だと思います。明治以後の日本の近代化は、地球の生命そのものを縮めようとしています。
西欧の絵画が人物・風景・人物画と分類されてきたのに対し、日本、アジアでは人物・山水画・そして花鳥画と呼び分けてきました。花鳥画とは「厳しい自然条件の中で生を育むものと人間との一体化した姿だ」と思います。
一部を残して鎖国政策をとった江戸時代は、さまざまな優れた文化を生みだしました。小さな窓(長崎の出島)から丸山応挙、渡辺崋山たちは、西欧の多くのものを吸収し、模倣ではない独自の世界を築きました。
貧才にもかかわらず、私はその時点から視つめ直して描き続けようと思っています。
2012.3 宮本和郎
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箍(たが)(1963)
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残心(1979)
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山百合(2008)(掛軸)東郷寺蔵
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使いこまれた背負い籠(2004)
 
 
2011年度 民美特別講座  ー先輩を語るー

「中谷 泰さんの人と作品」

日時:2011年4月3日(日)PM14:00~16:00
場所:平和と労働センター2Fホール(JRお茶の水駅) 入場無料

● パネラー 渡辺皓司・新美猛・中谷田鶴
● 司会   佐藤勤
中谷泰さんが亡くなって18年がたとうとしています。年月の経過とともにこのす ばらしい先輩の事も風化していくようで残念でなりません。そこで今回は中谷泰さんの作品を見ていただき、その仕事と人柄の想い出を皆さんに紹介してもら い、中谷泰が何をしようとしていたのか、その一端にふれることが出来ればと思います。
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「陶土」1958年
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「炭坑町(炭鉱のある町)」1963年
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「実のらぬ稲」 1954年
 
 
略歴
1909 三重県松坂市
1930 第8回春陽展に初入選
  以後亡くなるまで出品
1951 第4回日本アンデパンダン展出品
  以後亡くなるまで出品
1959 日本国際美術展優秀賞
1966 日本美術会代表(~71)
1971 東京芸術大学教授(~77)
1976 いわさきちひろ記念事業団理事長(~91)
1988 三重県立美術館「中谷泰展」
1989 「民美」所長(~91)
1993 5月31日逝去
2010年度 民美特別講座 私の創作体験

岡本 博  日本画を描きつづけて

日時:2010年12月19日(日)13時30分~16時

会場:民美アトリエ(平和と労働センター・全労連会館9F)

一般参加可・入場無料   終了後懇親会実施

和紙・筆・岩彩 - 日本人の伝えてきた美意識     2010.11 岡本 博
18才の僕は、当時日本画の大家で文化勲章を受け芸術院会員の小林古径先生の内弟子にさせて頂きました。
本当に短い間でしたが、日本画を描く上で大切なことを沢山学びました。千数百年優れた画家達により伝えられてきた日本人の美意識を、今日の表現に生かしたいと希いました。しかし僕は日本画画壇の既成団体には出品せず、最も民主的で進歩的な新しい価値の創造を目指す「日本美術会」で、主権在民の新憲法下の日本画を創り上げようと考えました。日美には若い課題意識に燃え、共に励ましあう高い志を持った先輩友人達が多勢いました。
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街 1972(25回)
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日本列島(街)1975(28回)
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休日 1985(38回)
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2004年“親子”2004(57回)
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熊野大杉 1996
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黒ばら 2001
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富士 2006
 
 
【略歴】
1933 三重県熊野市に生まれる
1954 東京芸術大学日本画科卒業 小林古径に師事
1955~ 日本アンデパンダン展に出品
1970 新鋭日本画家展に招待出品
1997 熊野市市民会館で個展
2002 セシオン杉並で個展
2010年度民美特別講座

私の創作体験-橋から海へ、それから- 

講師:冨田憲二

日時:2010年7月25日(日)PM1:30~3:30

場所:民美アトリエ(平和と労働センター9F)入場無料pdf_1


●彫刻に風景をとりこむことについて
●野外彫刻と室内彫刻の狭間で、その素材と技法
設置作品及び制作現場のスライド上映をまじえながら彫刻表現の新たな可能性を語ります。
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「橋 のある風景」砂岩W:300cm2006年
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「海へ」砂岩W:600センチ2007年
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「星座10839」金属W:180cm2009年
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「列」金属H:300㎝2010年
 
 
安来市生まれ
金沢美術工芸大学彫刻科卒業
2年間ストックホルム在住
個展・島根県立博物館、銀座、松江等多数
他、グループ展、アンデパン ダン展、
又、インド、ムンバイ国際彫刻シンポジウムに招待出品数回
2009年度 民美特別講座

小林喜巳子-私の創作体験


日時:2009年12月20日(日)14時~16時
会場:民美アトリエ(平和と労働センター・全労連会館9F)
一般参加可・入場無料   終了後懇親会実施

私の60年と私の仕事  小林喜巳子
東京美術学校(現芸大)油絵科を卒業してから60年、平和美術展とアンデパンダン展に出品しつづけて60年、現在の私があります。その間に、油絵から木版 画に転じて、私の主たる作品は、木版画です。でも私の木版画は、いわゆる「工芸的に」美しい木版画とはちょっと違うように思います。それはやっぱり、私が 油絵を描いていたからだと思います。それやこれや、私の作品を皆さんに見ていただきながら、お話したいと思います。

現代風俗シリーズ 網タイツ(30×15cm)2003

私たちの先生を返して(38×87cm)1964
    
大蔵市の日(54×75cm)1972

グスコーブドリの伝記(29×37cm)全21点  1950年代~60年代

人間の鎖(75×27cm)1984    
 
 
 
【略歴】
1929 東京世田谷に生まれる1951 東京美術学校(芸大)油絵科卒業1952 平和美術展、アンデパンダン展に出品(以後毎年出品)1980・87 ドイツ民主主義共和国・インターグラフィック展に出品1992 版画集「団地の四季」出版1994 山梨・北杜市フィリア美術館で個展2005 木版画集「宮沢賢治・グスコードブリの伝記」出版現在 日本美術会会員・美術家平和会議会員・さいたま生協木版画教室講師